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Explorers

ザ・ノース・フェイス
アパレル事業部 
アーバンライフスタイルグループ マネージャー

飯島和宏

Kazuhiro Iijima

冷静な判断と秘めた情熱で
プロジェクトを推し進めていく

素材開発、デザイン、生産、販売、PRなど、商品が完成するまでに携わる多くのスタッフの中心となり、事業をドライブしていくマネージャー兼MD(マーチャンダイザー)。「僕たちのポジションは究極のアマチュアです」。淡々と話す表情の奥から、数々の困難を乗り越え、プロジェクトを推進してきた情熱が伝わってきた。

Work Scope1

TNFらしいデザインや機能性を
都市へ提案するために対話を重ねる

入社前から毎年のように野外音楽フェスに通っていたという、音楽とアウトドアが好きな飯島。現在はアパレル事業部のMDとして、主にThe North Faceがアウトドアで培ってきた機能性を都市向けのデザインに落とし込んだ「Urban Exploration」部門を担当。1年半前から同チームに加わった頼もしい後輩・奈良とのタッグで、本国との会議や工場視察など、全国各地を飛び回っている。「最近ローンチされたこの〈Compile Light Jacket〉は、雨天の登山用に作られた〈Climb Light Jacket〉と同素材を採用。サンプルチェック時は、僕の体型がマスターサイズのLくらいなので、まずは自分が着てみてサイズ感を確かめています。通常レインウェアって平滑な表面が多いのですが、このアイテムはGORE-TEXの3層生地に、熱を加えた特殊な技術でパッカリング(縫い目の間にできるシワ)を実現しました。ニュアンスが加わったデザインで、よりファッション感度の高い人へも提案できます」

サンプルが上がって来たら、デザイナーや生産管理担当のメンバーと集まって会議。機能やデザインを踏まえて、どのような企画で世の中へ発信していくべきかのアイデアを出し合う。

Work Scope2

臨機応変さと、スピードと。
求められる多面的なアプローチ

The North FaceのMDは需要予測や在庫の管理だけでなく、商品の販促企画や工場訪問まで一通り担当するため、プロデューサー的側面が大きいという。飯島は自らのポジションを“究極のアマチュア”と表現しながら、「物事が予定通り進むことってあんまりないので、臨機応変に対応するコミュニケーション力が求められます」と、苦笑い。「絵を描いたり、生地を縫ったり、広告をデザインしたり。僕たちMDはそこに踏み込まず、プロフェッショナルなスタッフと会話しながらプロジェクトを推し進めていく。なので、素材のことも数字のことも、ある一定のレベルで理解する必要があるんです。もちろん最初からそれができなくてもいいけど、あらゆることに挑戦する姿勢や、好奇心旺盛な人はいいですね。米国もそうですが、近年は韓国とのやりとりが増えています。語学スキルがある人は活躍できると思います」

アメリカとの時差があるので、朝7時頃からオンラインMTGをすることもしばしば。直近で手がけたコラボ企画はCecilie Bahnsenとの取り組みで、予想以上の反響だったという。

Work Scope3

取引先の視察や直営店の勉強会へ
全国を駆け回るのも大切な仕事

北は北海道、南は沖縄。直営店スタッフに向けて、新商品の勉強会を実施するために出張で全国を回る機会も多いそう。「先週は取引先である繊維会社さんの新しい工場視察と商談のために石川県と福井県へ行ってきまして、週末は、石垣島のボランティア団体が主催するビーチクリーンのイベントに参加。回収した海洋プラスチック(ペットボトル)を原料にしたアパレル製品の企画が進行中です。月曜日には普段通りに出社して、明日からは北海道。オフィスにいる時間が長い月もあるのですが、今月は出張が続きます。The North Faceのアイテムは基本的にコンパクトになるので、出張の荷造りで改めて便利だなと感じますね。新作サンプルのサイズ感や仕様変更を指示するべく、富山県のテックラボを訪問する機会もしばしば。本店がある富山県は美味しいものが多い場所なので、チームのメンバーと一緒に地元のお寿司屋へ行くのが楽しみです」

繊維会社さんの新しい工場の視察で、石川県を訪れた。石垣島で参加したビーチクリーンでは、地元の方々と一緒に汗を流した。

Personal Life1

入社後、すっかり夢中になった
奥深きフライフィッシングの世界

もともとキャンプ好きだった飯島が、新しいアウトドアの趣味を探しているタイミングで、会社の先輩に連れて行ってもらったのがフライフィッシング。単純に餌やルアーを投げて魚を釣るのではなく、鳥の羽や獣の毛で作る、昆虫を模したフライ(擬似餌)を使用するのが特徴。何度か行くたびに、ひと手間もふた手間もかけるこのスタイルにすっかりハマり、今では月1回の釣行が楽しみで仕方ないという。「ロッドをしならせて、狙ったポイントにフライを的確に飛ばすのが難しくて。昨年からフライタイイングも始めて、色々な材料でフライを自作しています。訪れる川や季節によって、狙った魚が捕食している水生昆虫も変わるので、フライで再現する虫もその都度変えていくんです。これを『マッチ・ザ・ハッチ』といいます。狙い通りに魚がかかったときは、心の中でガッツポーズ。ようやくオフシーズンも終わったので、この春はまず岐阜へ行く予定です」

フライフィッシングに本格的にハマったのは3年前。今では月1のペースで、栃木、山梨、北海道など、全国の美しい渓流を求めて釣りに出かけている。

Personal Life2

山頂の絶景と温泉をゴールに
冬は雪山をトレッキング

ウインターシーズンの趣味を尋ねると、「スノートレッキング」という答えが返ってきた。足もとにはアイゼン、両手にはストックを装着し、3、4時間かけてザクザクと雪山を散策しているそう。「アウトドア好きな友人とともに、毎年2回程度スノートレッキングに出かけています。2024年の冬は奥鬼怒川の秘湯をゴールにひたすら歩きました。天気にも恵まれ、雪山の澄んだ空気と景色は格別でしたね。今思い出したのですが、入社するよりも前に、初アルプス登山をともにしたのは、The North Faceの〈Climb Light Jacket〉でした。購入してからもう何年も経ちますが、アウトドアアクティビティには欠かせないアイテムとして永く愛用しています」

直近では、群馬・新潟県境にある谷川や長野県・八ヶ岳連峰にある北横岳を歩いた。山頂でのご飯や、ハイキング後の温泉も楽しみのひとつ。

MY TNF PRODUCT

Symbiotic Coach Jacket

「Brewed Protein™というタンパク質素材と、現代美術家 Sam Fallsのアートワークから誕生したコーチジャケット。僕もMDとして企画に参加し、環境に配慮した新素材のコレクションを、アーティストとのコラボレーションによって多くの人に届けたい、という想いから生まれました。彼の『Spring Snow』というアートワークが刷られているのですが、ここまでBrewed Protein™の生地全面に柄をプリントすることはブランドとしても初めての挑戦で、淡いグラデーションや柄がしっかり出るか心配でした。結果的にとても美しくプリントできたのでよかったです。自然豊かなバーモント州で育ったSamはバックカントリースキーや釣りが好きな方で、お互い大好きな釣りの話で盛り上がりました」