THE NORTH FACEATHLETE

ATHLETE

天野 和明
ALPINE CLIMBER
天野 和明
Kazuaki Amano

1977年生まれ

山梨県で生まれた天野和明は、小学生の頃に家から近い乾徳山に家族で登ったのが記憶にある最初の登山だった。高校時代にはホームセンターで買った雨具と安全靴でひとり北岳に登り、学校をさぼって制服姿で原付にまたがり、大菩薩嶺に向かったこともあった。明治大学進学後は、憧れの植村直己を輩出した名門・明大山岳部に入部。その4年間で徹底的に鍛えられたことが、後々の登山の基盤になったという。大学卒業年の春には、明大山岳部OB隊の一員としてガッシャーブルムII峰とI峰を連続登頂。その後も8,000m峰への挑戦を重ね、29歳までに6座を無酸素登頂(最初の遠征で一晩だけ睡眠用に酸素を使用)。そこからスケールの大きな岩壁でのアルパインスタイル登攀に傾倒し、カランカ北壁初登攀では登山界のアカデミー賞といわれるピオレドールを受賞。24時間連続行動した末に、雪壁を削って腰掛けただけのオープンビバークを強いられるなど、過酷できわどい登攀が続いたという。「山は、強い人にも弱い人にも等しく厳しい。だからこそ自分を鍛え、自分を守る必要がある」という信念は、大学山岳部で身につけた根本的な考え方。現在、国際山岳ガイドとして活動する天野だが、この考え方はどんな登山にも共通すると話す。山岳ガイドとなって約20年。近年は地元・山梨の山への関心も高まり、甲州アルプスを中心に登山道整備活動にも参画。ガイドや登山学校を通して登山の本質を伝えながら、再び海外の大きな山に向けて、静かに準備を進めている。

2001年
ガッシャーブルムII峰(8,035m)南西稜 登頂
ガッシャーブルムI峰(8,068m)北壁 無酸素登頂
2002年
ローツェ(8,516m)西壁 無酸素登頂
2003年
アンナプルナI峰(8,516m)南壁 無酸素登頂
2006年
チョ・オユー(8,201m)西北西稜 無酸素登頂
シシャパンマ(8,027m)北壁 無酸素アルパインスタイルで登頂
2008年
カランカ(6,931m)北壁 アルパインスタイル初登攀
2009年
スパンティーク(7,027m)北西壁 アルパインスタイル第3登
2010年
デナリ(6,190m) 南西壁デナリダイヤモンド フリー初登攀
ハンター北壁ムーンフラワーバットレス(M6) 往復48時間のラウンドトリップ
Mt.チャーチ北壁、無名峰西壁に新ルートを開拓
第17回ピオレドール受賞
石井スポーツ登山学校校長
IFMGA認定国際山岳ガイド