山口県出身の宮田さんは、6年前に友人から一緒にシェアハウスをしないかと誘われたことをきっかけに北海道札幌市に移住。当時勤めていた会社も4年目で、環境を変えたいと思っていたことも重なり、移住を決断した。

　「自分の人生のなかで北海道に住むという選択を自分で取ることはなかったと思うので、誘われたときに直感で行こうと決められたのは今思うと良い選択だったなと思います。移住してから2年を過ぎた頃、販売の仕事が好きだったのもあり、THE NORTH FACEに就職しました」

　宮田さんが現在働くTHE NORTH FACE＋は、「自然と都市をシームレスに楽しむ」をコンセプトに、ライフスタイルのなかにアウトドアをカジュアルに取り込めるプロダクトが充実しているのが特徴だ。

　「駅ビルにあることもあり、ファッション感度の高いお客様が来店されることも多いのですが、そのまま運動をしたり、アウトドアに出かけられるような、まさにシームレスなプロダクトが充実しています。ファッションのフロアに店舗があるのも、いろんな人にアウトドアに興味を持ってもらうきっかけになっているんじゃないかな」

　THE NORTH FACEで働き始めてからは、これまで挑戦したことのないことに挑戦する機会が増え、今では登山も楽しむようになったという。そんな宮田さんの大切にしてるExploringは、意外にもアクティブなものではなく、「読書」だと話す。

　「アウトドアは比較的友人たちと誘いあって行くことが多く、そのぶん選択肢も広がり、新しい価値観と出会えることが楽しいのですが、読書は自分の感情に合わせて本を選んだり、忙しなく過ぎる日常のリセットとして大切にしています」

　宮田さんにとって読書とはリラックスした自分を取り戻す手段なのだ。そんな宮田さんは以前、読書によって救われた経験がある。

「以前、シェアハウスを一緒にしていた人との関係があまりうまくいかず、家になかなか帰れなかった時期があったんです。そんなときは公園で読書をしていたのですが、本の中の世界が私の安心できる場所となっていました」

　読書を通して、物語のなかに入り込み、作中の登場人物を影から覗き見しているような感覚を覚えるそうだ。現実では起こりえない魅力溢れる本の世界へ飛び立つことができる感覚は、彼女に新しい体験とリラックスを与えている。

「その時々の気分によって見たい世界が違うんです。だけどそれを本なら選んで飛んでいける。そうすることで、また明日も頑張ろうって切り替えられるんです。だから私の探求は、Never Stop Reading です」