小学生で8b+(5.14a)、中学生で8c(5.14b)を登り、高校卒業後に9a+(5.15a)を完登。そうして20代を迎え、2024年12月にはスペインの「Stoking the Fire」をレッドポイントし、ついにグレード「9b(5.15b)」に到達した。この上に位置する「9b+」を登ったクライマーは世界で10人いるかどうか。さらに、現在世界最難の「9c(5.15d)」に至っては片手にも満たない。こうした背景を踏まえれば、奥村が今どれほど高次元のステージに立っているかがよくわかる。ただ、「世界最難」を狙える世界でも数少ない存在になっても、穏やかでメローな物腰は変わらず、それもまた魅力的だ。最初に注目されたのは、わずか11歳でスペインの「Ixeia」(8b+)を完登したときだった。クライミングジムを営むクライマーの両親のもとに生まれ育ち、物心がつく前から遊びながら壁に触れ、登ることは暮らしの一部だった。今からすれば意外に思えるが、当初は並行してクライミング競技にも取り組み、日本ユース選手権では2年連続で表彰台に立っている。それ以降は、岩場でのクライミングに専念し、15歳でスペインの「Open your mind direct」(9a/5.14d)を完登した後は、意識的にボルダリングに集中した時期もあった。これ以上の高難度ルートに挑むには、ハードなボルダリングに打ち込み、強傾斜でのパワーとムーブ精度を鍛える必要があると気づいたからだ。現在は実家のクライミングジムで働きながら、春から秋にかけては国内の岩場を巡ってハードなボルダー課題に挑み、冬にはスペインへ渡り、3週間ほど滞在して強傾斜ルートと向き合っている。そうした恵まれた環境に甘えることなく、進化のための努力を惜しまない。その姿勢は、まさにリアルでピュアなクライマーの証である。
2001年生まれ
小学生で8b+(5.14a)、中学生で8c(5.14b)を登り、高校卒業後に9a+(5.15a)を完登。そうして20代を迎え、2024年12月にはスペインの「Stoking the Fire」をレッドポイントし、ついにグレード「9b(5.15b)」に到達した。この上に位置する「9b+」を登ったクライマーは世界で10人いるかどうか。さらに、現在世界最難の「9c(5.15d)」に至っては片手にも満たない。こうした背景を踏まえれば、奥村が今どれほど高次元のステージに立っているかがよくわかる。ただ、「世界最難」を狙える世界でも数少ない存在になっても、穏やかでメローな物腰は変わらず、それもまた魅力的だ。最初に注目されたのは、わずか11歳でスペインの「Ixeia」(8b+)を完登したときだった。クライミングジムを営むクライマーの両親のもとに生まれ育ち、物心がつく前から遊びながら壁に触れ、登ることは暮らしの一部だった。今からすれば意外に思えるが、当初は並行してクライミング競技にも取り組み、日本ユース選手権では2年連続で表彰台に立っている。それ以降は、岩場でのクライミングに専念し、15歳でスペインの「Open your mind direct」(9a/5.14d)を完登した後は、意識的にボルダリングに集中した時期もあった。これ以上の高難度ルートに挑むには、ハードなボルダリングに打ち込み、強傾斜でのパワーとムーブ精度を鍛える必要があると気づいたからだ。現在は実家のクライミングジムで働きながら、春から秋にかけては国内の岩場を巡ってハードなボルダー課題に挑み、冬にはスペインへ渡り、3週間ほど滞在して強傾斜ルートと向き合っている。そうした恵まれた環境に甘えることなく、進化のための努力を惜しまない。その姿勢は、まさにリアルでピュアなクライマーの証である。
日本ユース選手権 リードユースC 優勝
スペイン「La Fabela」(8c+) 完登
比叡 「ホライゾン」(五段+/V15) 完登
スペイン「Stoking the Fire」(9b) 完登