ATHLETE EVERYONE ADVENTURE RACERALPINE CLIMBERCLIMBERSPHOTOGRAPHERRUNNERSSKIERS & SNOWBOARDERS CLIMBERS 中嶋 徹 Toru Nakajima 1993年生まれ 初めてのクライミングは4歳のとき。クライマーの父に連れられ、2歳上の兄とともに小学生の頃から岩場で成果を挙げ、「長野に中嶋兄弟あり」と、早くから知られる存在だった。なかでも、2007年の長野県・湯川「白髪鬼」(5.13d)での初のレッドポイントはクライミング界に衝撃を与えた。この危険度の高いトラッドルートで、20年間で誰もできなかったことを、小学校6年生が初めて成し遂げてしまったのだから。この成功から、よりトラッドに傾倒した中嶋は、高校1年生で単身イギリスに渡航。伝統的な本場トラッドクライミングに真正面から挑み、初登も含め、ハイリスクで高難度な数々のルートを登攀。この15歳の日本人の成果は、英国クライミングコミュニティのなかでも高く評価された。その後の中嶋は、信州大学に進んで地質学を学び、大学卒業後は京都大学大学院で博士号を取得。現在は研究者の道を歩んでいる。クライミングをきっかけに岩や山に興味を抱いたことがきっかけだった。その間もクライミングは継続し、高難度のボルダリングを中心に粘り強く成果を挙げてきた。彼の目標は必ずしもグレードの追求ではなく、そのときどきで心が動く登攀対象を見つけて向き合うこと。その意味では、2019年の立山の大瀑布「称名滝」の全段フリーソロは、まさに中嶋でしか見いだせなかった課題といえる。技術力以上に、高いリスクと向き合う精神力や判断力が求められるこの登攀は、まさに中嶋の真骨頂であり、クライミングの本質。現在は富山大学で教鞭を執りつつ、研究のために黒部でのフィールドワークを続けている。また、しばらくぶりにトラッドクライミングに戻り、海外の岩壁にトライする機会を虎視眈々と狙っている。クライミングを追求するように、研究にも打ち込む。彼にとって両者の価値は等しく、人生をかけて取り組み続けるに値する課題なのである。 2005年 小川山「伴奏者」(四段) 完登 2007年 湯川「白髪鬼」(5.13d) レッドポイント 2009年 イギリス・グリッドストーン「Black Out」(E9) 初登 2010年 二子山「Flat Mountain」(5.14d/15a) 第2登 2012年 国民体育大会山岳競技 リード優勝 *以後2014年まで3連覇 2013〜2015年 海外で複数のV15を再登 2017年 米国・ビショップ「Lucid Dreaming」(V15) 第4登 2019年 立山「称名滝」 全段フリーソロ遡行 2022年 鳳来「Epitaph」(V16) 第3登 2024年 恵那笠置山「Regret」(V16) 初登 米国・レッドロックス「Sleepwalker」(V16) EXPLORE ATHLETE モーリーン ベック MAUREEN BECK 奥村 優 Yu Okumura 伊藤ふたば Futaba Ito 野口 啓代 Akiyo Noguchi OTHER CLIMBERS
1993年生まれ
初めてのクライミングは4歳のとき。クライマーの父に連れられ、2歳上の兄とともに小学生の頃から岩場で成果を挙げ、「長野に中嶋兄弟あり」と、早くから知られる存在だった。なかでも、2007年の長野県・湯川「白髪鬼」(5.13d)での初のレッドポイントはクライミング界に衝撃を与えた。この危険度の高いトラッドルートで、20年間で誰もできなかったことを、小学校6年生が初めて成し遂げてしまったのだから。この成功から、よりトラッドに傾倒した中嶋は、高校1年生で単身イギリスに渡航。伝統的な本場トラッドクライミングに真正面から挑み、初登も含め、ハイリスクで高難度な数々のルートを登攀。この15歳の日本人の成果は、英国クライミングコミュニティのなかでも高く評価された。その後の中嶋は、信州大学に進んで地質学を学び、大学卒業後は京都大学大学院で博士号を取得。現在は研究者の道を歩んでいる。クライミングをきっかけに岩や山に興味を抱いたことがきっかけだった。その間もクライミングは継続し、高難度のボルダリングを中心に粘り強く成果を挙げてきた。彼の目標は必ずしもグレードの追求ではなく、そのときどきで心が動く登攀対象を見つけて向き合うこと。その意味では、2019年の立山の大瀑布「称名滝」の全段フリーソロは、まさに中嶋でしか見いだせなかった課題といえる。技術力以上に、高いリスクと向き合う精神力や判断力が求められるこの登攀は、まさに中嶋の真骨頂であり、クライミングの本質。現在は富山大学で教鞭を執りつつ、研究のために黒部でのフィールドワークを続けている。また、しばらくぶりにトラッドクライミングに戻り、海外の岩壁にトライする機会を虎視眈々と狙っている。クライミングを追求するように、研究にも打ち込む。彼にとって両者の価値は等しく、人生をかけて取り組み続けるに値する課題なのである。
*以後2014年まで3連覇
米国・レッドロックス「Sleepwalker」(V16)