THE NORTH FACEATHLETE

ATHLETE

CLIMBERS
石井 秀佳
Mishika Ishii

2005年生まれ

幼い頃のクライミングとの出会いは、今ではそれほど珍しいことではない。だが、それでも石井秀佳の場合は、やはり「少し特別だった」と言えるだろう。ある年の正月、家族で東京・御嶽山に初詣に出かけた際、河原でボルダリングを楽しむクライマーの姿を偶然目にする。その光景が強く印象に残り、翌日ふたたび両親に御嶽へ連れて行ってもらい、見よう見まねで岩に取り付いたという。当時は、まだ小学生。その日の御嶽で出会ったクライマーからクライミングジムの存在を教わり、ほどなくジム通いを始める。驚かされるのは、リードは「Base Camp入間店」、ボルダリングは「B-PUMP荻窪店」を選んで通ったこと。いずれも各カテゴリーにおいて国内屈指の実力派ジムであり、ひらめきと行動力に導かれ、的の真ん中を射貫いたような選択だった。このときから夢中になって登り続け、成果はすぐに表れる。届かないホールドに苦戦しながらも、小学校6年生までに三段、四段クラスの課題を次々に完登。中学1年生の5月には、鳳来の「白道」(五段+/V15)の第4登に成功。「V15」という世界最難レベルの課題の完登は、当時、女性としては世界で3人目、そのうえ最年少だった。ボルダリングへの挑戦は、ここでいったん休止符を打ち、翌年からはルートクライミングに注力。秋には二子山の高難度ルート「テンペスタ」(8b+/5.14a)をレッドポイントした。ボルダリングの瞬発力と、リードの持久力を高い次元で兼ね備える石井には、自分のクライミングに枠にはめる発想はない。ルートもボルダーもどちらも等しく楽しく、高校時代に怪我で断念したクライミング競技にも、チャンスがあれば再挑戦したいと考える。夢は、海外の岩場を転々と旅しながら、魅力的なラインにトライすること。そこでの完登が自身の最高グレード更新となれば、それはなおさら素敵、と考えている。

2018年
鳳来「バチュラレッド」(四段/V12)完登
鳳来「握撃」(三段/V10)完登
瑞牆山「夜叉」(四段+/V13)完登
小川山「伴奏者」(四段+/V13)完登
塩原「カランバ」(三段+/V11)完登
2019年
笠置山「入滅」(五段/V14)完登
鳳来「白道」(五段+/V15)完登
2020年
二子山「即身仏」(8a+/5.13c)レッドポイント
二子山「テンペスタ」(8b+/5.14a)レッドポイント
2021年
二子山「中秋」(8b/5.13d)レッドポイント
2025年
奥物部「ニューホライズン」(四段/ V 12)完登
アメリカ・ネバダ州Red Rocks「Wet dream」(四段/ V 12)完登