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25 YEARS OF SUMMIT SERIES

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25年といえば四半世紀。その間、多くのプロダクトが誕生した。
ヒマラヤで歴史的な実績を挙げた登山家をサポートし
登山界のアカデミー賞と称される世界的栄誉に輝くクライマーに育まれ
高所登山から極地遠征に至るまで、数多くの遠征隊の挑戦を支えてきた。
そんな「サミットシリーズ」から、いくつかの名品を紹介する。
この25年間で変わったもの、変わらないものとはなにか。
それは、リアルなアウトドアブランドとしての軌跡そのものでもある。

8,000m峰を登るために

Himalayan Parka & Pant Himalayan Parka & Pant

Himalayan Parka & Pant

2013年、80歳にして3度目のエベレスト登頂に成功した三浦雄一郎が着用した高所用ダウン。通常、7,000m以上で着用するが、ベースキャンプから防寒着として使用する三浦は、セパレートタイプをチョイス。市販モデルをベースに、体型に合わせたフィット調整や、リクエストに応じたポケットの追加などがなされた、まさに三浦モデル。まるで極寒用スリーピングバッグのようなボリューム感は、一般的なダウンジャケットと一線を画した無敵の保温力を発揮した。

Himalayan Suit

Himalayan Suit

8,000m峰全14座登頂を達成した石川直樹が着用したダウンスーツ。ワンピース型はヒートロスが少なく、ヒマラヤ登山での愛用者も多い。軽量な表地には必要な部分に補強素材を採用。内側にサスペンダーが付いているため穿き心地がよく、見た目よりも動きは軽快だ。通常は標高7,000m以上で着用するこのスーツは、まさに8,000m峰登頂を目指す人をターゲットとしたコア中のコアプロダクトであり、製造しているブランド自体も限られている。

タフな遠征を成功に導くために

Himalayan Parka & Pant

2-Meter Dome

1975年に発売されたTHE NORTH FACE初のジオデシックドームテント「オーバルインテンション」のDNAを受け継ぐ、ベースキャンプ用大型テント。床面の直径は約4m、高さ約2mという大空間は大人8人を楽々収容し、ダイニングテントのようなパブリックスペースとしても活躍。12本のポールで組み上げるドーム構造は、バックミンスター・フラーが提唱した2つの理論に裏付けられ、極地やヒマラヤの猛烈なブリザードにも負けることはない。

Base Camp Duffel

Base Camp Duffel

1986年誕生。ヒマラヤ登山を始め、世界各地へのエクスペディションで、これほど頼りがいのあるダッフルバッグもないだろう。最大サイズのXXLは、容量なんと160L。装備を満載すると一人では持ち運べない重さになる。1000デニールの強固な素材は、各種登攀ギアからテント、衣類、食料、燃料まで、あらゆる装備を詰め込んでも、破れる心配はない。空港で引きずられ、四輪駆動車のルーフや、駄馬の背中に荒々しく括りつけられる姿がよく似合う。写真は石川の私物。目印となる赤い布が付けられている。

アルパインクライミングに特化したい

Icicle Jacket & Bib Icicle Jacket & Bib

Icicle Jacket & Bib

日本人アルパインクライマーが積極的に関与した最初のプロダクトで、馬目弘仁と佐藤裕介のリクエストにほぼ忠実につくられた。フードは、ヘルメットを着用した状態で、フロントファスナーを開けずに片手で容易にかぶれるような仕様。ハーネスのギアラックに干渉する裾は短く切り詰め、股を通す2本のゴムバンドで、裾のずり上がりを防止。両腕を上げたクライミング動作を想定したパターンメイキング。アルパインクライマーの運動性を徹底的に追求した結果、ほかで見ることがない個性的なフォルムに仕上がった。

Alpine Suit

Alpine Suit

これも馬目弘仁のリクエストで生まれた珍しいワンピース型ミッドレイヤー。ヒートロスが少なく、どんなにアクティブに動いても、裾がめくれ上がることのない腰回りは快適そのもの。素材は吸汗速乾性の高い薄手フリースをメインに、前身頃には保温力のあるハイロフトフリース、雪面につくことの多い膝にはストレッチ中綿を封入。ヒップは開閉式でトイレに便利な仕様。初期モデルは2012年登場だが、馬目は今もなお3着を大事に使い続けている。

発想の逆転が生んだ

Icicle Glove

Icicle Glove

これもまた、馬目と佐藤のアイデアで誕生したアイスクライミング用グローブ。氷壁登攀では、どうがんばっても手の濡れは避けられない。ならば、最初から濡れることを前提に開発しようということで、水を含んでも保温力を発揮するネオプレンを素材に起用した。アイスアックスやロープなどのグリップ力を高めるために、補強素材を加えるなど、年々改良を重ねた結果、ステッチが多くなることで、当初のコンセプトの優位性が半減し、姿を消した。

Alpine Climber Socks

Alpine Climber Socks

これも同じく逆転の発想からの冬季登山用ソックス。何日間も冬山登山を続けていると、濡れた靴下から透湿した湿気で、ブーツ全体が凍り付く。それを防ぐために、汗や湿気をすべてネオプレン素材に留めるというアイデア。結果、1週間以上雪山で行動しても、登山靴が凍結することがなく、快適に履くことができた。毎年、数週間かけて厳冬期黒部横断を続けていた佐藤裕介のように、長期間、冬山で行動するクライマーにはなくてはならないアイテムだった。そろそろ復活販売されるという噂。

手つかずの自然を求めて

RTG Jacket & Bib RTG Jacket & Bib

RTG Jacket & Bib

アラスカのような遠隔地の雪山を滑るための「RTG=Remote Terrain Gear」として1998年に誕生。大きめの胸ポケット内には、無線機やGPSを固定する複数のネオプレンポケットを内蔵し、袖にはシェルの上からリストモニターを確認できる透明のウォッチウインドを装備。呼気によるゴーグルの曇りを防ぐフォグベントなど、多くの革新的なアイデアが盛り込まれていた。ゴアテックスをメイン素材に立体裁断で仕上げた滑走ウェアとしてのクオリティも高く、現在もアップデートを続けている。

THE NORTH FACE SUMMIT SERIES BOOK
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THE NORTH FACE
SUMMIT SERIES BOOK

SUMMIT SERIESの25年を総括し、未来を見据えるブランディング・ブックを刊行。THE NORTH FACE(北壁)という山びとの憧れを冠したブランドのDNAと本質、SUMMIT SERIESを通した冒険の未来、冒険のあり方を改めて今問いかけます。超小部数の特装版として制作、書店を通じて限定販売。

¥3,850(税込)